セクシーなジャケットもさることながら
内容の方もバンドの代表作というべき傑作
" フォー・ユア・プレジャー "以降のアルバムに協力してきたレコーディング・エンジニアのジョン・
パンターが、本作では共同プロデューサとしてもクレジットされている
2人の女性モデルがシースルーの下着を着ているジャケット写真が物議を醸し、アメリカでは袋入りで
販売され、ドイツでは1人のモデルの顔をアップにした写真に差し替えられ、カナダでは女性2人を
消すといった措置が取られた…この2人のモデルは" ビター・スウィート "の作詞にも協力
ロキシー・ミュージックのアルバムとしては初めてアメリカのアルバム・チャートでトップ40入りを
果たし、" オール・アイ・ウォント・イズ・ユー "はシングル・カットされ、母国イギリスのシングル・
チャートで12位、" カサノヴァ "はブライアン・フェリーのソロ・アルバム" レッツ・スティック・
トゥゲザー "でセルフ・カヴァーされた
§ Recorded Music §
1 The Thrill of it All - ザ・スリル・オブ・イット・オール
2 Three and Nine - スリー・アンド・ナイン
3 All I Want is You - オール・アイ・ウォント・イズ・ユー
4 Out of the Blue - アウト・オブ・ザ・ブルー
5 If it Takes All Night - イフ・イット・テイクス・オール・ナイト
6 Bitter-Sweet - ビター・スウィート
7 Triptych - トリプティック( 聖なる3枚の絵 )
8 Casanova - カサノヴァ
9 A Really Good Time - ア・リアリー・グッド・タイム
10 Prairie Rose - プレイリー・ローズ
§ Band Member §
Bryan Ferry - ブライアン・フェリー( Vo,Pia )
John Gustafson - ジョン・ガスタフソン( B )
Eddie Jobson - エディ・ジョブソン( Key,Vio )
Andy Mackay - アンディ・マッケイ( Sax )
Phill Manzanera - フィル・マンザネラ( G )
Paul Thompson - ポール・トンプソン( Ds )
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ロキシー・ミュージックのイメージをもっとも強く感じさせるアルバムで、混然とした雰囲気もまだ
残しているが、後期にみられる円熟したサウンドも一部で聴かせており、ロキシーという個性をもっとも
発揮した彼らの代表的な作品である
" ザ・スリル・オブ・イット・オール "はロキシーらしいモダン・ポップスで、ノイジーなギター
メロトロン、華やかなコーラスなどが混然としたロキシー・ワールドを構築する佳曲、" オール・
アイ・ウォント・イズ・ユー "はこの時期の代表曲のひとつに挙げられるロキシーらしい佳曲で、
華やかで混然とした世界がここでも構築されている
" アウト・オブ・ザ・ブルー "は地味ではあるもののエディ・ジョブソンのヴァイオリンが登場、強烈な
フランジャーによる音の揺らぎも含めてなかなかポップな仕上がりであるし、" カサノヴァ "は
ロキシー流ハード・ロックともいうべき曲で、隠れた名曲のひとつだろう
ロキー・ミュージックの中期というか第2期というか、初期のブライアン・イーノからエディ・
ジョブソンに変わっての2作目で、初期にあったアヴァンギャルドとポップの奇跡的な融合という姿は
なく、高い構築性に富んだ内容になっている
エディ・ジョブソンといえば、あの超技巧ヴァイオリンが頭に浮かぶがあまり目立っていないのが残念
前作" ストランデット "にあった哀愁美より力強さが全面に打ち出された作品だが、こうみていくと
次作" サイレン "と合わせてのジョブソン加入時の3作は、どれも違った個性を打ち出していて
大変興味深い
ロキシー・ミュージック、1974年発表に4作目で、ロキシーの70年代のアルバム・ジャケットは物議を
醸すものがいくつかあるが、本作はその最たるもの
収録曲の中ではロキシーのライヴの定番になった" アウト・オブ・ザ・ブルー "がピカイチ
70年代ロキシーにおいてブライアン・イーノ脱退後に参加したのがエディ・ジョブソンだが、この曲での
彼のヴァイオリンは素晴らしく、この曲のために本作を買っても惜しくない
ほかの曲も70年代ロキシーの最高峰" サイレン "に向かう一歩手前の完成度の高さを示す
ロキシーらしいクセを感じさせる作品なのでやや入りにくいが、その分彼らの魅力がいっぱい詰まって
いるし、彼ららしいポップな楽曲をたくさん含んだ瑞々しい作品でもある