ハウイ・リー・モレル率いる" Missing Links "のオリジナル・アルバム
ミッシング・リンクスといえば1988年にリリースした" Groovin' "で超豪華メンバーを揃え、マメなフュー
ジョン・ファンから注目を集めたユニットである
ハウイ・リー・モレル以外のメンバーはジョージ・ジンダ(Per)、ヴィクター・ベイリー(B)、ロニー・
ドレイトン(G)といったところが固定され、そのほかオマー・ハキム(Ds)とデニス・チェンバース(Ds)、
バーナード・ライト(Key)、ドナルド・ブラックマン(Key)、ロニー・コンドー(Key)がそれぞれ曲ごとに
分け合って参加していた
" Groovin' "に収められていたナンバーは、ラスカルズの大ヒット曲としてお馴染みのタイトル曲をはじめ
ベン・E・キングの" スタンド・バイ・ミー "など、ほとんどがポップス史上の名曲ばかりで、それらの
曲をいかにミッシング・リンクス風あるいはハウイ・リー・モレル風に料理するかがポイントだった
§ Recorded Music §
1 Batique - バティック
2 Love Will Find a Way - ラヴ・ウィル・ファインド・ア・ウェイ
3 Beginnings - ビギニングス
4 Darkside - ダークサイド
5 Something So Good - サムシング・ソー・グッド
6 Gladiator - グラディエイター
7 Lady of the Lake - レディ・オブ・ザ・レイク
8 Seven Drones - セヴン・ドゥロウンズ
その" Groovin' "がカバー中心のアルバムに対し今回はすべてオリジナル、あるいはF・モーズの作品と
なっていて、とてもナチュラルなサウンドというのがもっともふさわしい
メロディはもちろん各楽器の音色が調和よく耳に入り込んでくる
ゲスト・プレイヤーの選択もニューヨークの第一人者だけあって、当時" 旬 "な美味しいゲスト・
プレイヤーが参加している
何といってもフィリップ・セスがほとんどの曲でキーボードを引いている点に注目したい
自身でもウィンダム・ヒルやポリグラムからアルバムを出しているフランス人アーティストで、当時
ニューヨークでももっとも斬新なキーボーディストとして人気を呼んでいた
シークのナイル・ロジャースらとアウトラウドというバンドを組んだり、自己ユニットドッペル
ギャンガーとしてもアルバムをリリースしていた
フィリップの参加によりサウンドがより視覚的に、バラエティさをも増す結果となっている
前作ではナジーなメロウなトーンがリラクゼイションを与えてくれたが、今回は元イエロージャケッツの
ボブ・ミンツァーが各種サックスを、そしてジョージ・ハワードが得意のソプラノ・サックスをそれぞれ
披露してくれる
このアルバムでは前作とほとんど違うメンバーとなり、すなわちミッシング・リンクスはあくまでハウイ
リー・モレルのユニットだということが再確認できるわけだが、そんな中、今回も全曲でパーカッション
を務めるジョージ・ジンダだけは欠くことのできないパートナーのようだ
ジンダはもちろんスペシャルEFXのメンバーとしてグループから順調なアルバム・リリースをしているが
そのほかにもサチのプロデュースなどハウイとの共同作業が少なくない
今回は大地を感じさせるちょっぴりエスニックなナンバーも何曲かテイクされているので、彼の存在は
とても重要なものだといえよう
そのほかのミュージシャンは、ギターのブライアン・キーン、キーボードのマイケル・ペアドンはともに
ネルソン・ランジェル(Sax)のアルバムに参加、曲作りも行っていた
ニューヨークの若手プレイヤー、スティーヴ・フェローンは元アヴェレイジ・ホワイト・バンド、
ネイザン・イーストらとともにエリック・クラプトン・バンドの貴重な戦力として活躍中だったドラマー
同じくドラムスのジェリー・マロッタはウッドストックを拠点に活動していた売れっ子アーティストで
ポップス・ファンには数多くのヒットを持つグループ、オーリアンズのメンバーとして慕われていた
フェルナンド・サウンダースはA&Mからリーダー作をリリースしていたアーティストで、そのアルバムは
ハウイ・リー・モレルがプロデュースを担当していた
都会の雑踏から逃れたプライベイト・タイムにはミッシング・リンクスのようなサウンドが絶対必要だと
思う