軌道に乗ったバンドが1979年に発表したサード・アルバム
悪名高いアルバムカバーで知られている
フォリナーの3作目、300万枚の売上を記録したものの、本作制作後に元キング・クリムゾンという
肩書きからフォリナーの顔役的な立場だったイアン・マクドナルドとシンセサイザー担当のアル・
グリーンウッドが脱退している
それまでのセールスからやや数字が下がったのと、メンバーの確執が表面化したことなどから、やや
一般的評価を下げている感がある
個人的には、クィーンやジャーニーとの仕事で有名なロイ・トーマス・ベイカーと制作したこともあって
フォリナーのアルバム中、もっともサウンドがヘヴィでドライヴィング、楽曲もメリハリの効いた
ギターやシンセが印象的な曲が多く" 4 "に次いで好きな作品である
ベーシストがエド・ガリアルディからリック・ウィリスに代わっている
§ Recorded Music §
1 Dirty White Boy - ダーティ・ホワイト・ボーイ
2 Love on the Telephone - 真夜中の電話
3 Woman - 女たち
4 I'll Get Even with You - 反逆の夜
5 Seventeen - 17
6 Head Games - ヘッド・ゲームズ
7 The Modern Day - モダン・ディ
8 Blinded by Science - 科学の影に
9 Do What You Like - 灰色の別れ
10 Rev on the Red Line - レヴ・オン・ザ・レッド・ライン
§ Band Member §
Lou Gramm - ルー・グラム( Vo )
Mick Jones - ミック・ジョーンズ( G )
Ian McDonald - イアン・マクドナルド( G )
Al Greenwood - アル・グリーンウッド( Key )
Dennis Elliott - デニス・エリオット( Ds )
Rick Wills - リック・ウィリス( B )
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同時代のアメリカン・ハード・ロックに比べ、フォリナーにはスター・プレイヤーがいたとは思えない
歌唱力抜群のルー・グラムには女の子をキャーキャーいわせるような魅力はなかったし、ミック・
ジョーンズもスティーヴ・ルカサーやトム・ショルツのようなカリスマ的ギタリストでもない
ではなぜ彼らが支持されたかといえば、純粋に楽曲の良さと演奏の手堅さが理由だった
このサード・アルバムはフォリナーではもっともストレートかつシンプルな印象のアルバムとなっている
ルー・グラムとミック・ジョーンズの共通点はブルース・ロックに対する理解の深さだが、ところが
この2人フォリナーでは決してブルースを演奏しようとしなかった
そこはひたすら隠しながら2人の作る曲は英国臭いというか、ハード・ロック・ファンなら文句なく
カッコいいと思えるタイプである
" ダーティ・ホワイト・ボーイ " " 女たち " " 17 "は歌詞、サウンドともに当時吹き荒れていたパンクに
対する彼らの回答になっていて、ハード・ドライヴィングなギター・ワークが良い
ミック・ジョーンズならではの哀愁あるメロディは" 真夜中の電話 " " 科学の影に "で充分聴くことができ
特に" 科学の影に "のシリアスさは特筆すべき、ルー・グラムの切迫感ある熱唱が感動的である
さらにポップな" 反逆の夜 "、軽快な" モダン・ディ " " 灰色の別れ "、シングル・ヒットした彼ららしい
ミディアム・テンポの" ヘッド・ゲームズ "、エンディングに相応しい重厚な" レヴ・オン・ザ・レッド
ライン "とどの曲も魅力的で、いつにないハードな演奏にも引き立てられ完成度を高めている
今回のアルバムの共同プロデューサには、上述したようにクィーンとの仕事で知られるロイ・トーマス
ベイカーを起用しているが、彼とはファースト・アルバムから一緒にやりたいと思っていたにも関わらず
スケジュールがつかなかったため、ようやく3枚目で実現した
このアルバムからはトップ10入りしたシングルがなかったことや、初めてのメンバー・チェンジにより
リーダーのミック・ジョーンズの意図が強調されるようになったことから、過渡期的作品に捉えているが
楽曲のバラエティやユニークなプロダクションから、通常の彼らのイメージを裏切るものとして
ファンの評価は高い