西海岸のガールズ・バンド、The Banglesが
1986年に発表した2ndアルバム
彼女たちを代表するメガ・ヒット・ナンバー" マニック・マンディ " " エジプシャン "の2曲を収録して
いることでも分かる通り、よりポップに、そしてキャッチーに仕上げられている
誰にでも聴きやすく親しみやすいサウンドが満載、そしてキュートなメンバーたちのアイドル的側面も
存分にアピールした作品になっていて、ロックというカテゴリーを必要以上に意識させることもなく
普通にオールラウンドなポップ・ミュージックとして聴くことのできる、真性のポップ・アルバムだ
ただし、逆にロック・バンドとしてのアイデンティティをしっかり担保した作品であるという部分をも
確実に内包していて、この辺りというのは前作での方向性を完璧に継承しているようにも感じられる
シャープ&ソリッドな演奏、ギミックにこだわり過ぎないシンプルなプロダクションを勘案すると
決して意図してセルアウト路線に墜したといった風な作品でもないように思える
§ Recorded Music §
1 Manic Monday - マニック・マンディ
2 In a Different Light - シルバー・スクリーンの妖精
3 Walking Down Your Street - ウォーキング・ダウン・ユア・ストリート
4 Walk Like an Egyptian - エジプシャン
5 Standing in the Hallway - ホールウェイに立ちすくみ
6 Return Post - リターン・ポスト
7 If She Knew What She Wants - ホワット・シー・ウォンツ
8 Let it Go - レット・イット・ゴー
9 September Gurls - 9月の少女
10 Angels Don't Fall in Love - 恋に堕ちた天使
11 Following - フォローイング
12 Not Like You - ノット・ライク・ユー
§ Band Mamber §
Susanna Hoffs - スザンナ・ホフス( Vo,G )
Vicki Peterson - ヴィッキー・ピーターソン( G )
Michael Steele - マイケル・スティール( B,G )
Debbi Peterson - デビー・ピーターソン( Ds )
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ややポップに振れたとはいえ、この辺のバランス感の絶妙さというのが彼女たちを一気にスター・
グループへと押し上げた要因のひとつであるのは間違いないところだ
その代表曲" マニック・マンディ "はスザンナがメイン・ヴォーカルを取るポップ・ナンバー、各メンバー
がリード・ヴォーカルを取る" エジプシャン "はタンバリンや口笛がフィーチャーされていてとにかく
カラフル、中近東をイメージさせるコーラスも曲にピッタリである
シングル・カットの" ウォーキング・ダウン・ユア・ストリート " " ホワット・シー・ウォンツ "は
柔らかいハーモニーが美しく、タテノリのロック" 恋に堕ちた天使 "があるかと思えば、ダークな
エネルギーを感じるアコースティックな異色作" フォローイング "と、その作風はバリエーションに
富んでいる
バングルスのようなガールズ・バンドが世界規模での成功を手中にするというのは思いのほか難しい面も
あるのか、古今東西あまり例がなく、彼女たちの登場以前だとランナウェイズやゴーゴーズなんかも
いたが、いずれもキワモノ・一発屋的な扱いを受けていて、世間から高いレベルで評価されることは
なかった
たとえ高評価を受けていてもメジャー・シーンで成功することはほとんどなく、アングラ界隈でコアな
活動を余儀なくされるといった場合がほとんどであったように思う
そういう意味でも、しっかりとした人気と実力を兼ね備えていた彼女たちの存在というのは、もっと
もっと評価されてもいいのではないかと思う
そんな彼女たちも本作リリースの3年余り後には活動停止となってしまうが、たとえ破格の成功を収めた
としても、女性メンバーのみのバンドというのはこれを長く維持していくのは、やはり難しいのかも
しれない
ヴォーカル・パートを4人でしっかり分担したり、特定の1人だけが極端に目立ち過ぎることの無いように
十分配慮しながら活動していたように感じられた彼女たちですら難しかった
" 女性のみの1チーム "というシステムにはやはり諸々の問題が生じ易かったりするのか…
ただし、そんな女性グループが発する刹那のキラメキ、輝きにはほかを圧倒する格別な魅力があると
いうのも否定しがたい部分である
だからこそ、このときのバングルズは凄かったのだとは、逆にいえるかもしれない