Techno Popの先駆者Kraftwerkの代表作
このアルバムの中の" ザ・モデル "はリリース4年後の1982年にイギリスのチャートで1位を獲得している
この4年後というのがこのバンドの凄さを顕していて、紛れもなく後の" テクノ "と呼ばれる音楽の基礎と
なった名盤である
雑誌「 Music Life 」ではこのアルバムは酷評されていたが、評論家なんてその程度かと認識させられ
たのもこのアルバムだった
新しいものというのは常に冷たくあしらわれるのかもしれない
モノフォニックが当たり前で電子音が当たり前だった時代、彼らの音作りは衝撃的でビジュアル的にも
世界に与えた影響は大きいものだった
§ Recorded Music §
1 The Robots - ザ・ロボッツ
2 Spacelab - スペースラボ
3 Metropolis - メトロポリス
4 The Model - ザ・モデル
5 Neon Lights - ネオン・ライツ
6 The Man-Machine - ザ・マン・マシーン
§ Band Member §
Ralf Hutter - ラルフ・ヒュッター( Vo,Syn,Key )
Florian Schneider - フローリアン・シュナイダー( Voco,Syn )
Karl Bartos - カール・バルトス( Ele-Ds )
Wolfgang Flur - ウルフガング・フリューア( Ele-Ds )
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ジャーマン・プログレッシブ・ロックなどと当時は呼ばれていたクラフトワークなので、テクノ・
ポップと呼ばれると違和感があるが、当時のことを知らない人のために説明すると、テクノ・ポップなる
言葉はYMOを筆頭とする日本のバンドにつけられたもので、そのYMOが大きな影響を受けたバンドと
してマスコミが紹介したのがクラフトワークである
だから彼らもテクノ扱いされてしまったが、" アウトバーン "の頃は誰も彼らのことをそう呼ばなかった
確かにデビューの頃の難解さは影を潜め聴きやすくなっているし、ディスコでも彼らの音楽がかかって
いたのでリズミカルということもあるし、かなりダンサンブルになりマーケット拡大を狙っていた
ヴォコーダー処理やシニカルな歌詞、リズム・マシーン使用などそれらの要素がうまい具合に組み
合わさった傑作で、サウンド・デザイン、サウンド・エフェクトにいたるまで入念に処理されたポップ
オリエンテッドな傑作である
当時このアルバムを聴いたときは本当に驚いて、しばらく耳を離れなかった
日本でもYMOやヒカシューなどテクノ・ポップが流行っていたが、やはりこの作品には驚かされた
クラフットワークの場合は、コンピューターや機械がもっている金属的な冷たさが音楽を通じて伝わって
くる感じがして、それがちょっと不気味にも思え、逆に厳粛な感じにも受けることができる
シンセサイザー音楽だと思う
知名度がある" ザ・ロボッツ "はもちろんだが、このアルバムでは" スペースラボ " " メトロポリス "を
ぜひ聴いてもらいたい
" 宇宙研究所 " " メトロポリス "というある種ベタなイメージの曲ではあるが、未だこれらを超える古き
良きSFの世界を表現した楽曲を聴いたことがない
インストでアナログ・シンセの音が堪能でき、何よりメロディが美しく、ポップだけどどこかドイツ的な
構築美がみえて美しい
当時中高生の間でいわゆるテクノ・カットが流行り、学校ではブルース・リーが「 燃えよドラゴン 」で
センセーショナルに登場したときにブームとなったヌンチャクと同様、禁止になったところも数多かった
クラシック畑出身らしい、これでもかと正確なリズムを刻む電子音とファッションセンスでクラフト
ワークは先進的な存在だった
ヴォーカルにイコライザー、そしてシンセサイザーと直結させることで創り上げる、彼らがいうところの
ヴォイス効果にしても、ある意味で初期のような不自然さは見受けられない
アルバム・ジャケットの写真のインパクトがあり、ビジュアル的にも洗練されたものがある